日本が2030年とその先に向けて経済成長とウェルビーイングを高いレベルで実現するためには、企業がグローバル競争力を向上させることが欠かせません。しかし、1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた絶頂期以降、日本企業は長きにわたって苦しみ、「失われた30年」から脱しきれず今に至ります。急速に変化する世界情勢の中で、グローバルのリーディング・ポジションをどのように奪回・確立できるのでしょうか。日本企業がめざすべき「Future Winning Model」について、前後編に分けて考察します。
シリーズ前編にあたる本論考では、日本企業の競争力低下の実態と原因について、直近5~10年間を中心に分析しています。TSR(株主総利回り)、主要財務指標、投資面で欧米企業に劣後している状況を抑えた後、BCGおよびBCGヘンダーソン研究所(BHI)独自のデータソース等から浮き彫りになる日本企業の現状を明らかにします。そのうえで、これまでの日本企業とグローバル企業を比較する中で見えてきた、日本企業がグローバル市場で勝つための第一歩として必要な最初の条件である「5つのグローバル標準の成功要諦」について論じます