BCG Henderson Institute

先進国に迫る人口構造変化の危機を、あらゆる統計が示している。2050年までに OECD (経済協力開発機構)に加盟する 全38カ国で高齢化が進行し、65歳以上が人口の21%以上を占める国が33カ国になる。

この傾向は重要な意味を持つ。労働力不足、イノベーションの停滞、生産性の低下、内需の縮小などのリスクである。高齢化、つまり実質的な人口減少は GDP成長への逆風となるだけではない。精神的・身体的健康、人間関係、働き手のエンゲージメントといった要素で構成される国民のウェルビーイング(心身の健康と幸福)にも深刻な影響を及ぼす。経済成長とウェルビーイングは負の連鎖を引き起こすおそれもあるが、相乗効果もある。前向きに考えれば、こうした構造を理解した国は繁栄の機会を捉え、成功への道筋を構築できる。

BCG ヘンダーソン研究所(BHI)は、経済成長とウェルビーイングの関連性を分析するひとつのアプローチとして、独自のニューラルネットワークモデル、“Flourishing Pathway” モデル (以下、BHIモデル)を開発した。過去20年の OECD13カ国 1 における 40 の指標を学習させたこのモデルは、数千のシナリオ下で各国の経済成長と国民のウェルビーイングを2050年まで予測できる。このモデルを用いて自然の成り行きで進行するシナリオ(ベースケース)と、経済成長とウェルビーイングの最適化を図るシナリオ(アスピレーショナルケース)の両面で日本、米国、ドイツを比較すると、各国の繁栄に向けた手がかりが見えてきた(図表1)。

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