世界中で平均寿命が伸びていることは、人類にとって明らかな進歩である。出生率の低下も、出産に関する選択の自由の広がりを反映しているという側面では、前向きな変化だといえる。しかし、これらの傾向があいまって世界人口の高齢化が進み、労働力の減少、医療支出の増加、社会的セーフティネットへの圧力の高まりにより、経済的・社会的に大きな課題が生じることが予想される。

社会の高齢化がもたらす影響はすでに顕在化している。2023年、中国は60年以上ぶりの人口減少に見舞われ、人口の30%近くがすでに65歳以上の高齢者である日本では、労働力不足、高齢者の経済的不安の増大、国内消費市場の縮小が起きている。こうした影響は、特に日本の地方で深刻であり、空き家や空き店舗、耕作放棄地がよく見られるようになっている。

この人口間題の原因と影響は広く議論されているが、豊かな高齢化社会・経済を実現する解決策は不足している。この課題への対応を前進させるため、私たちは学術、医療、パブリックセクター、芸術、企業の各領域からソートリーダーの方々にお集まりいただき、2023年 Meeting of Minds（以下、MoM）を開催した。

以下は、今回のMoMから得られた主要な洞察をまとめたものである。この課題に対する微妙に異なる理解、潜在的可能性のある解決策の要素についての見解、企業と経営リーダーへの示唆などが含まれている。（さらにご興味をお持ちの方は、各参加者がそれぞれの専門分野に関連してMoM向けに準備した添付資料（英文）もご参照いただければ幸いです。）